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8月の展覧会雑感

さて、間が空きましたが展覧会の感想です。

所用で関西に行き、丁度開催中の展覧会いくつかに足を運びました。
本当は広島現代美術館の石内都さんの原爆をテーマにした新作展も見たかったのですが、
スケジュールの都合で断念。

神戸市立博物館は、メディアが協賛する大規模展の巡回会場となることが多く、
こちらが所蔵しているコレクションを見る機会がこれまでありませんでした。
丁度、所蔵品がまとめて展示されているということで、これ幸いと見てきました。
いや、本当に素晴らしい展覧会でした!
国宝の桜ヶ丘銅鐸からはじまり、一遍上人絵伝断簡、古地図コレクション、南蛮屏風、長崎絵、
源内焼、中国趣味の写実絵画とその周辺、東インド会社関連の工芸品など、普段はなかなか
一時に見ることのできない名品揃いで、これだけでおなかいっぱいになりました。
塩田千春さんの展示とともにこの夏の大きな収穫でした。

青春のロシア・アヴァンギャルド(@東急Bunkamura)は、いわゆるロシア・アヴァンギャルドの
典型的作品を期待して行くと肩すかしを食らうかもしれませんが、アヴァンギャルドを文字通り
前衛的芸術として、その萌芽期の作品を幅広く見せる展示であると理解しました。
展示された作品には、当時の西欧の前衛芸術のムーヴメントがさまざまな形で解釈・吸収されて
おり、そのヴァリエーションが非常に面白い展覧会でした。
ピロスマニの位置づけがちょっと謎でしたが、彼に関しては単独の展覧会としてもっと多くの
作品を見たいと思います。

どれも面白かったのですが、唯一大きな疑問を感じたのがアトミック・サンシャイン展(@代官山
ヒルサイドテラス)でした。
非常に乱暴な説明をすれば、憲法九条の大切さを再考し、現状に警鐘を鳴らすための展覧会と
いうことになるのでしょう。しかし、その趣旨と展示作品とがどのような脈絡で結びついているのか、
実際の展示を見てもさっぱりわかりませんでした。
多くは著名な作家の旧作であり、それだけ見ていれば普通の展覧会として見ることはできますが、
展示作品はそれぞれ何のつながりも持たないままで展示され、ただキュレーターのコンセプトだけが
前のめりになり、あるいは宙づりになっている印象を受けました。
例えば憲法九条というテーマで展覧会を作るとき、一見してメッセージ性を秘めているとわかる
作品を選んでも、それが展示のコンセプトのなかで説得力を持たなければ、作品の意味が半減
してしまうと思うのです。見た目のメッセージ性だけに頼って観客を納得させようとするのは、
却って展示を痩せさせてしまうように思います。
7月16日のエントリーでも触れたように、表現というものはもっと多様で豊かなはずで、
本当は豊かで開かれている作品の可能性を引き出さず、生硬なテーマに閉じこめて提示するのは
ちょっとどうかな…と思うのです。

パンフレットも購入しましたが、各作家に当てられた解説はあるものの、それも個々の作品の説明
にはなっていますが、私自身の展示全体の印象を統一するには到りませんでした。
個人的に最も肝要だと思ったのは、展示作品のなかで最も印象深い森村泰昌氏の「なにものかへの
レクイエム(MISHIMA)1970.11.25-2006.4.6」を展示の中でどう位置づけるか、でしたが、残念ながら
この作品の解説は一水会の鈴木邦男氏が担当されており、結局私の展示に対するぼんやりした
印象は払拭されないままでした。
奇しくも、森村氏が雑誌CINRAのインタビューで語っているような内容は、結果的にこの展示にも
当てはまっているのではないかと思いました。
(誤解を招いてはいけませんので注記。森村氏はこの展覧会に最も献身的に協力したアーティストの
お一人のようです。)
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